2022年1月末に我が家の愛猫はなちゃんの元気が突然無くなり、異常を感じて病院へ連れて行ってから早や1か月。長い入院生活を経て退院し、やっと落ち着いてきたのでこの怒涛の、しかし不安と心配でいっぱいだった1か月を振り返ってみます。妻と力を合わせて乗り越えた、涙あり笑いありの1か月でした。

 結局今回は3つの医療機関にお世話になりました。どの病院の先生・スタッフの方々にも親切にして頂き感謝でいっぱいです。この一連の記事を読んで、少しでも同じような病気・状態の方の助けになればと思っています。

 今回ははなちゃんの状態に対して仮診断が下され、あれよあれよという間に緊急入院となりました。かかりつけ医から二次医療機関へ、不安と緊張の連続した、濃密な午後の時間をご覧ください。

目次

かかりつけ医へ

 1/26(水)15時頃。
 はなちゃんは多くの猫ちゃん同様、病院が嫌いです。キャリーケースが登場すると、いつも異変を察知してスタコラと私達の手が届かないソファの下に逃げ込むのです。しかしこの日は、明らかにキャリーケースを視認しても動かず、キャリーケースのフタを開けてからようやく逃げ出す状態でした。更にソファの下ではなくミニョンハウスに逃げ込んだのです。

ミニョンハウス

 ただ近かったからミニョンハウスを逃げ場として選択したのかもしれませんが、逃げる元気もあまりないのかと心配が募ります。ちなみにソファよりよっぽど出てこさせるのに苦労しました(汗)

 15時半過ぎ。
 車でかかりつけの発寒動物病院に連れて行った私は、はなちゃんのことが心配で午後の診療開始の20分前に着いてしまいました。こちらは予約制ではないので、早く診て欲しい気持ちが行動に現れていました。

 狙い通り1番に受付を済ませ、問診に答えます。いつもお世話になっているのでスタッフの方も私やはなちゃんをを覚えていてくださり、昨日からの一連の状況を説明すると心配そうに耳を傾けてくださりました。

 16時頃。
 診察室に呼ばれ、主治医の先生にご挨拶。家ではあんなに嫌がってたキャリーケースから出て来ようとしないはなちゃん。このリアクションいつも通りだったのですが、体重を計るとなんと2.36kg…ここ最近は2.5~2.6kgを維持していたので体重が減ってしまっていたのでした。熱を測ると39.1°。これまで病院で検温してもらった時はせいぜい38.5°で、日によっては38°くらいの時もあったので熱が上がっています。早速血液検査をすることとなりました。

 検査結果が出るまでしばらく待ちます。その間にも妻と連絡を取ります。妻もはなちゃんが心配で、キャリーに入れる時に抵抗もないほど元気なかったらどうしようと気になっていた様子。はなちゃんの心配はしていますが、この後緊急事態になるとは予想もしていませんでした。しかし、待合室で待っている間にレントゲン撮影も追加でしてよいかの確認があり、徐々に暗雲が漂ってきます。

下された仮診断 

 17時頃。
  待つこと数十分。検査結果によると、とても強い急性炎症が起きているとのこと。慢性腎臓病の気のあるはなちゃんは腎数値(BUN、クレアチニン)も気になるところでしたが、異常値を示すものの脱水気味なのでそこまで心配することはないようでした。急性膵炎も疑ってリパーゼ(LIP)値も調べてくれましたが正常範囲内なのでこれも否定されました。とにかく白血球の数値が非常に高いのとSAAという炎症マーカーが検査できる数値を振り切って高値を示しているので、はなちゃんの体の中では免疫系が急性炎症に対して頑張って抵抗している状態なのでした。

赤いマーカーの部分が炎症を反映しています

 血液検査に加えて行われたレントゲン撮影で分かったのは、夥しい数の結石でした。ちなみに先生によると、珍しくおとなしくレントゲン写真を撮らせてくれたようで、やはりいつもと違い元気が無いようでした。
 レントゲン写真では、まるで数珠繋ぎのような尿管結石に加え腎臓自体にも結石が認められるとのことでした。撮影したレントゲン写真を改めて見ると…

 結石がたくさんあると言われても素人にはよくわかりませんが、これをさらに拡大してみると、矢印で示した辺りに結石(白く丸く写っているもの)が分かります。レントゲンでは硬い物ほど白く濃く写ります。このレントゲン写真を見ると、結石といっても1個や2個ではなく、大量の結石があることが分かったのです(矢印はたくさんある結石の一部を示しています)。

 かかりつけの先生はこれまでの検査から、「尿管結石」とそれにより腎臓が肥大している可能性があるとの仮診断を下されました。

高次医療機関、究極の2択

 但し原因究明とその対策のためには更に精密検査をする必要があるとして、より専門的な病院への紹介・受診が良いとの判断をされました。ここで、先生が提示して下さった選択肢は2つありました。

  1. 北大への受診
  2. 民間病院への受診

 どちらも検査や手術のための設備が整っており信頼できる医療機関とのことですが、先生の意見としては今回のはなちゃんのケースだと北大が良いのでは、とのことでした。しかし北大へ受診するためには

  1. かかりつけの先生から大学病院へFAX(翌朝)
  2. 大学病院から受け入れの返事(FAXと同日か土日祝を除く数日後)
  3. 受診日の調整
  4. 受診(大学病院の返事から更に数日後で、平日の午前)

という手順を踏まねばならないと教えて頂きました。ここでネックとなったのは受診までの日数と、初回の受診日(平日午前)のことでした。検査をしてはなちゃんの様子が少しながら分かり、私たちが思っていたよりもずっと重症だということ。そして、私の仕事の都合上1~2週間先まで予約が入っており、スポットで急に休むのが困難であること。悩みます。妻も仕事をしており、いつでもすぐに動けるわけではありません。

 かかりつけの先生は、北大受診までの間に点滴などで繋いでくださることも提案して下さいましたが、診療時間と私達の勤務時間が見事に重なっておりそれも不可能でした。つまり北大受診までははなちゃんは自宅待機ということになります。

 ここで、民間病院についても聞いてみました。すると、こちらは普段の診療時間に加え、夜間救急で急患対応もしてくれるということが分かりました。但し、あれだけの結石に対する手術についてはそちらで行ってくれるかもしれないし、更にそこから北大への紹介になるかもしれないとのことでした。

その名はペテモ

 どうすべきか迷いましたが、北大を選択しても私達には見守ることしかできず、仮に急変してもすぐに処置してあげることはできません。であれば、手術のために更に転院することがあったとしても、入院下ですぐに応急対応してもらえる環境に置いてあげるのがはなちゃんにとってベストなのではないかと考えました。

 また、この日の診療時間は20時までであり時間的に間に合う点も私の決断を後押しし、民間病院を受診することを選択しました。

 民間病院の名前は「ペテモどうぶつ医療センター札幌月寒」、略して「ペテモ」。かかりつけ医の先生から教えて頂いた時は「テテモ?」と聞き直してしまいました。

 17時30頃。 
 かかりつけ医を出た私は早速ペテモに電話して事情を説明し、19時の予約を取ることができました。初診で、しかも今さっき予想外の事実を伝えられて動揺し、うまく状況を伝えられない私に対してもとても丁寧な電話対応をして下さり、行く前から少し安心したのを覚えています。

 その後、これまでの経緯を妻に報告します。LINEでのやりとりは先生に聞いたことなどを文字として残しておけるので後から見返せる点は良いのですが、正直話がなかなか進みません。電話で続きの報告と今後の動きを相談しました。

私「これから行く病院がペテモっていう所なんだけど」
妻「テテモ?」
私「ペ、パピプペのペ、ペテモだよ」
妻「あ、ペテモっていうんだ」
(あれ、なんか似たようなやり取りがついさっきあったような…)

 この日はたまたま私が午後休み、妻が早上がりの日だったので札幌駅で待ち合わせて家族3人(2人と1匹?)でペテモへ向かうこととしました。丁度夕食時にかかるので、ということで妻がおにぎりや軽食を調達してくれると申し出てくれました。正直自分の事を気にかけている余裕は無かったのでとてもありがたかったです。

 妻と合流し、車でペテモへ向かいますがナビの案内する道が主要道路ではなく裏道のような道路で…除雪があまり入っていない道を「はなちゃんゴメン~(泣)」と言いながら向かいました。雪で車線減少と凸凹悪路の影響でナビの予想よりも時間がかかり、余裕だと思っていた予約時間ギリギリでした。

緊急入院

 19時頃。
 ペテモに到着し、受付を済ませます。周りを見渡すと、たくさんのワンちゃんニャンちゃんを連れた人がいます。診察室も4部屋(犬用3、猫用1)ありました。看護師さんが待合室まで来て、他の飼い主さんにお薬の話や今後の通院スケジュールなどを丁寧に説明する声が聞こえてきます。

 20時頃。
 しばらく待ち、私達の番が来ました。昨日からの経緯とかかりつけ医での仮診断を伝え、先ほど頂いた血液検査の結果とレントゲンのデータを先生にお渡しします。ここで、追加の検査として超音波エコー検査を行うことになりました。
 キャリーから顔を出したはなちゃんは「にゃー」と言いたそうにするのですが、声が擦れてほぼ出ていません。「相当痛いんでしょうね」と先生。そうですよね。人間でも尿管結石って1個でも激痛って聞きますし。それがあれだけの数があって、それぞれが尿管を刺激していれば激痛で食欲も出なければ声も出ないですよね…。

 21時頃。
 超音波エコー検査が終わり、再び診察室に呼ばれます。
 ペテモに着いてから診察までの間と超音波エコー検査の待ち時間と、どちらもまぁまぁ待ち時間ありましたが、今となっては何をして待っていたのかあまり思い出せません。スマホで猫の尿管結石や急性炎症についてアテも無く調べていたんだと思います。悪い想像とそれを払拭しようというせめぎあいをしながら。

 超音波エコー検査の結果は、尿管結石の詳細に加え様々なことが分かりました。尿路系と呼ばれる部分は簡単に言うと腎臓→尿管→膀胱と続いていきます。また、尿路系以外にも異常が見つかりました。

  • 腎臓の結石は左右にある
  • 夥しい数の尿管結石は左の尿管にある
  • 左側は多量の結石で尿管内の流れが悪く、腎臓が腫れている(水腎症)
  • 膀胱内に結石ではないがさらさらした砂のようなものが溜まっている
  • 子宮の中にも水の様なものが溜まっている(子宮水腫?子宮蓄膿?)

 以上の事を血液検査と合わせると、やはり疑わしいのは尿路系。子宮も怪しくはありますが、溜まっているのが膿なのか水なのかは判別できない状態。感染が起こっていることは間違いなさそうですが、感染源は尿路系か子宮が疑わしいものの、はっきりしないということまで分かりました。

 結石に対する手術が必要な状態ではありますが、

  • はなちゃんのケースは簡単な手術ではなく、札幌で手術できるのはペテモか北大だろうということ
  • ペテモの中でも手術待ちのワンちゃんニャンちゃんが多数いること
  • ペテモも北大もコロナの影響もありスタッフの人員配置もギリギリで運営していること

などからすぐに手術できる状況ではないことを説明されました。また、北大の先生にもコンサルをかけ、なるべく早く手術ができるよう尽力して下さると仰って下さりました。そして、手術までの間は入院下で点滴や抗生剤の投与をして炎症を抑えてつなぐことを提案して下さいました。

 はなちゃん初めての入院です。私達にとっても2人と1匹で暮らし始めて以来、初めてのことです。別れを名残惜しみながら私と妻で交互にはなちゃんを撫で、「頑張ってね」と激励の言葉をかけて先生に託しました。キャリーに入ったはなちゃんは診察室から奥の方へ吸い込まれるように行ってしまいました。

 苦手な病院を2件もはしごした挙句、お家に帰れず入院と心細いと思いますが、我が家にいる時よりはひとまず安心です。この日はお会計は特にありませんでした。なんでも、入院した場合のお会計は退院時にまとめてとのこと。翌日の面会のアポイント(19時半)を取ってこの日は終了です。

 22時前。
 ペテモはBRUNCH札幌月寒というショッピングモールの敷地内にあります。ペテモを出た私たちは終了間際のスタバにかけこみ、コーヒーを買ってホッと一息。車内で妻が買ってくれたおにぎりとぬるまった豚汁を食べ、遅い夕食を簡単に済ませます。ドッと疲れが出てコーヒーとおにぎりのミスマッチもあまり気になりません。

やけに広く感じる家

 22時半過ぎ。
 帰ってきた私達は、お互いを労いしばし放心。ふと食卓からリビングを見渡すと、なんだかやけに広く感じます。あんなに小さい体なのに、いないだけでがらんどうとした印象を受けるのですね。ぼーっとしていると、正面の妻の目からぽろぽろと涙がこぼれてきます。「はなちゃんがいないよ~」と、我慢しているのに涙が止まりません。私ももらい泣きしそうでしたが、「はなちゃんが元気で帰ってこれるように、まず僕らが元気でいよう」と慰めるので精一杯でした。後から妻に聞いた話ですが、この日は先生の話を聞くまでは、はなちゃんを連れて帰る気満々でまさか入院になるとは思っておらずびっくりしていたそうです。

奇跡が起きる

 いつ手術してもらえるのかを案じながら眠りに就いた私達。翌日に奇跡のお知らせが来るとはつゆ知らず…

はなちゃん闘病記③~奇跡のお知らせ~に続きます!

前のお話はこちら↓

投稿者

hanamizawa

文系学部を卒業後、歯学部再受験し現在卒後数年経った歯科医師です 患者さんにより良い医療を届けるため日々勉強中 また、勉強していく中で日常生活にもアンテナを伸ばすと知らないことが溢れていることに気づいてしまいました。 猫好き、アウトドア好き、スポーツ好き、ドライブ好き、読書好き ゆるく生きています

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