2022年1月末に我が家の愛猫はなちゃんの元気が突然無くなり、異常を感じて病院へ連れて行ってから早や数か月。長い入院生活を経て退院し、やっと落ち着いてきたのでこの怒涛の、しかし不安と心配でいっぱいだった1か月を振り返ってみます。妻と力を合わせて乗り越えた、涙あり笑いありの1か月でした。
結局今回は3つの医療機関にお世話になりました。どの病院の先生・スタッフの方々にも親切にして頂き感謝でいっぱいです。この一連の記事を読んで、少しでも同じような病気・状態の方の助けになればと思っています。
今回はこのシリーズの大一番。北大での尿管結石の手術日と術後数日の経過についてのお話です。子宮の手術日と同じく長い一日を乗り越え、術後の経過は順調に見えましたが…
目次
長い長い一日の始まり
2/3(木)10時頃。
ついに手術当日。はなちゃんにとっても、私たちにとっても大一番の一日が始まりました。私は仕事のため、勤務中は仕事に集中するよう努めます。手術は10時半頃開始の予定ですので、その前に麻酔導入やCT撮影が行われるはずです。少し時間が空いた時にはなちゃんの無事を祈ります。
SUBシステムを設置しない場合の手術予定時間が3~4時間とのだったので、更に数時間上乗せされる計算です。新たに人工尿管のバイパスを設置するのですから、そんな簡単に終わる手術では無いと考えると5~6時間という所でしょうか。10時半開始と考えて、15時半~16時半くらいに電話が来るのではないかと予想していました。お昼休みも気が気ではありません。早く電話が来て欲しいけれど、早過ぎれば不測の事態が起こっての連絡かもしれないし…。そうは言っても電話を待つ私達。まだかまだかと、居ても立っても居られないとはこのことですね。
妻の家族は、結婚して以来皆さんはなちゃんを愛してくださっています。遠く離れて住む妻の伯母さんはわざわざお守りを買って下さいました。皆さんからの想いもはなちゃんに届くよう祈りながら、予想した手術終了時間を迎えますが未だ電話は来ません。手術が難航しているのか、はなちゃんに不測の事態が起こってそれに対処しているのか、不安が不安を生み出します。うまくいっているんだ、手術は成功するんだ、そう信じて電話を待ちます。
17時半。
妻のもとに電話が来ました。無事に予定していたすべての手術を終了できたとのこと。結果的に7時間の大手術でした。よく乗り切ってくれました。結石を取るのにはやはり難航したようで、先生はとても疲れた声だったようです。あの数珠繋ぎは確かにな…と思いますね(詳しくははなちゃん闘病記②~緊急事態発覚編~をご覧ください)。術前に撮影したCTで見ても、やはり尿路系以外に原因は無さそうとのことでした。本当に先生に感謝ですね。麻酔が覚めたばかりでぼーっとしているはなちゃんをイメージすると絶対可愛いのだろうな、と思う親ばかは私も妻も同じでした。
はなちゃんよく頑張った!術後の面会
2/4(金)朝。
妻が面会に行って様子を教えてくれました。本当は私も会いに行きたい所だったのですが…。細かく様子を伝えてくれる妻に感謝です。術後の経過は良好のようで、まずは一安心といったところでしょうか。
術直後、はなちゃんの体からは4本のチューブが出ているようです。そのチューブは
- 点滴
- 腹腔内ドレーン
- 腸瘻チューブ
- 尿道カテーテル
の四本です。これまで入院中にカラーや服を着用することは少なかったのですが、流石にチューブが外れては困るのでフル装備です。食欲はあるようで、ちゃんと食べてくれれば腸瘻チューブを使わなくて済みます。カルカンのごはんを出せば出すだけ食べるようで、想像するだけで頬が緩みます。声が擦れてしまっているようですが、全身麻酔時の気管挿管の影響でしょう。先生も声に関しては特に触れていなかったようなので徐々に治っていくでしょう。
その後は妻とはなちゃんの様子の話になります。はなちゃんはこれまで結膜炎や脱毛なども患っているのですが、全て左側。今回のトラブルも左の腎臓。今後も左に気を付けねばなりません。
病院の猫ICUのケージ内での話では、二つのクッションの話題に。ニトリというのは、2日前に私が持って行ったクッションではなちゃんがすっぽり入って丸まれるものです(詳しくははなちゃん闘病記⑤~長引く微熱編~をご覧ください)。そしてもう一つのクッションは小さいソラマメ型のクッション(以後ソラマメと表現します)。ニトリの方がお気に入りで、ソラマメはあまりお気に入りではないはなちゃん。妻が面会の時にニトリに入っていなかったようで何故かと思ったら、ニトリの中にソラマメが置いてあったようです。ソラマメに占拠されたニトリにはなちゃん入りたがらなかったようで…。次の面会の時にもニトリの中にソラマメが入っていたら撤去しようと心に誓ったのです。
この日はトイレの横に座っていたようです。写真からは点滴チューブしか確認できませんが、このほかに3本チューブが体から出ています。左目が開きづらそうですが、本当は右目くらいぱっちりしているのです。
週明け、経過良好
2/5(土)10時頃。
何もなければ来ないはずの電話が妻のもとにかかってきました。内容はというと、昨晩点滴から皮下に漏洩が見つかって処置をしたとのこと。漏洩部から細菌感染を起こす可能性もあるので注意深く見守って下さっているとのことでした。また、手術部の縫合(皮膚も、尿管も)が裂けてしまう可能性があるのが今日明日のようで、そちらも変化が無いか見ているとのことでした。体温は39.1℃で、昨晩の38.7℃より若干上がっています。点滴漏洩の影響かどうかは何とも言えないようですがひとまずは様子見とのことでした。
はなちゃんとは関係ありませんが、2/5未明頃に同じマンションの隣の家に泥棒が入ったようで我が家にも警察の方が来たそうです。そしてエントランスも警察官だらけとのことでした。これまで身内や身近な人で空き巣や泥棒の被害に遭った方を知らなかったので、なかなかショックでした。
2/7(月)12時前。
妻がはなちゃんの面会に行ってくれました。今日の体温は38.7℃で、一昨日上がった体温も下がっているようです。食欲もあり、緊急用に設置した腸瘻チューブも使用しなくて済んでいるとのことです。4本つながっていたチューブのうち、尿道カテーテルは抜去したためチューブはあと3本になりました。ドレーンからはまだ水が出ているようなのでもう少し設置しておくそうです。ちなみに声はまだ擦れていたようです。
ここで尿について。尿の中に細菌がまだ認められるそうで、洗浄はもう少し実施するとのことでした。但し、SUBシステムを設置した猫ちゃん(わんちゃんもそうみたいですが)では、尿中に細菌を認めるものの症状を呈さないケースが一定数あるようです。無症候性細菌尿と専門用語で言うそうです。
調子が良ければ2/10(木)にでも退院させたいと主治医の先生は仰っていました。ただ、退院後3連休になってしまうので何かあった時が不安というのが先生と私達の共通の認識でした。
立ち込める暗雲
2/8(火)15時頃。
妻から連絡がありました。北大から妻の携帯に電話が来ていたとのこと。よほど緊急の時は妻の職場に電話してもらうよう伝えてあるため、容体急変等ではなかったようですが、それでも北大からのお知らせは私達を少し暗い気持ちにさせました。
はなちゃんの熱がまた少し上がってきているというのです。39.2℃とのことで猫の発熱の定義(39.3℃~)に照らすと否定されますが、なんとなく熱が上がり傾向にあるというのは不安です。一応2/10退院予定に変更はないとのことでした。今度こそ我が家に帰って来れると良いのですが…
二度目の退院延期
2/9(水)9時頃。
今日のはなちゃんの具合と明日の予定の調整のため北大に電話します。北大に電話しようとして、かかりつけ(発寒動物病院)に間違って電話したのはここだけの話です。これには理由がありまして。はなちゃんの平熱って何度だっけ?と夫婦で話題になった時にお恥ずかしながらしっかり把握していませんでした。ですので、かかりつけの発寒動物病院に電話をして確かめようと話していたのです。結局平熱は38.2℃くらいで猫にしては低めの様です。
それは良いとして。北大に電話したところ、主治医の先生から悪いお知らせを聞くことになってしまいました。微熱傾向だった体温が、発熱の域に達してしまったのです。
先生からの情報は以下の通りでした。
- はなちゃんの今日の体温は39.9℃
- 発熱ではあるが様子は変わらず、体調が悪いわけではなさそう
- 食欲は落ちておらず、ごはん食べているし体重も維持している
- 排便排尿も問題は無い
- 超音波検査で尿の通りは維持されており、腎盂の拡張も無い(尿が通りが悪くなれば腎盂が拡張する)
- 週明けの尿検査で、尿中に細菌は認められるが多くは無い
- 正直何故熱がまた上がっているか分からず困っている
以上のことから、もう一度血液検査をして精査するとのことで退院は見送りとなってしまいました。二度目の退院延期となってしまい、悲しさと不安が募ります。はなちゃんの様子が変わらず食欲や排便も変わらないということがせめてもの救いです。ただ、発熱の原因が分からないというのが不気味です。翌日2/10(木)は夫婦で面会に行くことにしているので、元気づけて少しでも退院を早めてあげたいです。
有効な抗生剤は何か?
2/10(木)12時頃。
はなちゃんの面会に北大を訪れます。今日のはなちゃんの体温は落ち着いているとのこと(何度だったか記録するのを忘れてしまいました)。2/9(水)に血液検査と共に尿検査も実施していたようで、術後減っていた尿中の細菌が再び増えてしまっていたようです。細菌培養検査に出したとのことで、その結果を受けて適切な(ターゲットとなる細菌にピンポイントで効く)抗生剤を決めることができます。現在熱が下がって落ち着いているのは、投与している抗生剤の種類を変更したからだそうです。先生曰く、イチかバチかの部分もあったようですが、(発熱をただ見て)待ってられなかったとのこと。効果が出ているようで良かったです。
術後1週間経ったはなちゃんとの面会です。相変わらずチューブは三種類着いたままですが、顔つきがいつもの元気なはなちゃんになってきました。たくさん応援の言葉をかけ、名残惜しい気持ちを抑えつつ猫ICUを後にします。お昼休みを抜けさせてもらって面会に行ったのですが、職場に戻ってはなちゃんの写真をボスに見せたら「目に力がある」と言ってくれました。また、妻がお義母さんに同じ写真を見せた所、なんと「目に力がある」と一言一句違わぬコメントが返ってきたようで、私達夫婦の間でひとしきり盛り上がりました。
ついに退院の時が
抗生剤が効いて熱が下がり、目に力が宿ったはなちゃん。長い入院生活に耐え、ついに退院の時が…!
はなちゃん闘病記⑦~退院のお供は腸瘻チューブ!?~に続きます!