2022年1月末に我が家の愛猫はなちゃんの元気が突然無くなり、異常を感じて病院へ連れて行ってから早や8か月。長い入院生活を経て退院し、今では元気に走り回っています。それでも今でも鮮明に思い出す怒涛の、そして不安と心配でいっぱいだった1か月を振り返ってみます。妻と力を合わせて乗り越えた、涙あり笑いありの1か月でした。
術後の再度の発熱に対して抗生剤が奏功し、目に力が宿ってきたはなちゃん。体調を崩してから早や3週間弱。ついに退院の時を迎えます。しかし退院してめでたしめでたし…という訳にはいきませんでした。退院後のはなちゃんのお世話はどうなるのか!?
今回はめでたく退院に至る様子と、退院後のイレギュラーな投薬を妻と協力して奮闘する様子をお送りします。はなちゃんが元気になっていく過程を含めてお楽しみください。
目次
増えてきた体重
2/14(月)14時頃。
この日は10日以来のお見舞いで、妻に行ってもらいました。前回のお見舞いでは目に力が宿って顔つきも元気になってきていました。今回はどうでしょうか?
はなちゃんは無事発熱もなく、食欲や排便にも問題ないとのことでした。ただ、残念ながら尿の中には細菌がいるようで点滴から入れている抗生剤で細菌を叩くことができれば…ということでした。細菌培養の結果が待ち遠しいですね。
はなちゃんにつながっていたチューブはドレーンを抜いてもらってあと2本となりました。確実にチューブも減っています!入院時の体重が2.3kgを切るかどうかだったのでしっかり体重も増えていて(2.68kg)安心です。
ついに退院の時が!
2/15(火)20時前
北大の主治医の先生から電話があり、翌日退院の旨の連絡が来ました!待ちわびた日がついにやってくるのです。心配で心配で妻と二人でリビングで沈んでいた日もありましたが、それでもはなちゃんを信じて待っていた甲斐があったというものです。
2/16(水)午前
この日も仕事の合間に妻とはなちゃんが帰ってくるときのための準備の連絡を取っていました。2人ともはなちゃんが帰ってくる喜びでそわそわしています(笑)。
主治医の先生から、退院翌日はできれば1日様子を見てあげて、何かあればすぐ病院に戻って来れるようにして欲しい旨の連絡を受けていました。私達夫婦は残念ながら翌日の休みを取ることがどうしてもできず、妻のお母さんにお願いしてはなちゃんの面倒を見てもらうことにしました。はなちゃんの面倒だけでなく私たち二人の面倒(ご飯を作ってくださいました)まで見てもらうことになるとは思っていませんでしたが、本当にありがたいです。
2/16(水)18時半頃。
北大へお迎えに行きます。名前を呼ばれて診察室に入る時に、普段クールな感じの主治医の先生がはなちゃんを両手で「よーしよし」と言いながら笑顔で撫でているのを見て早速温かい気持ちになりました。
これからおうちに帰るはなちゃん。とっても元気で、キャリーケースの蓋を頭でぐーっと押してきます。注意事項や投薬などの説明を一通り聞いてから待合室に戻り、お薬を受け取ったらそそくさと家に帰ります。そしてはなちゃんの様子を妻にも写真や動画で伝えてあげると、普段私には使わない♡が咲き乱れています。嬉しい様子がよく伝わりますね!
我が家に帰ってきたはなちゃんは久しぶりの自宅の感触を確かめるかのようにいろいろなところのにおいをふんふん嗅ぎながら歩き回り、ケージの中で落ち着きました。
ところで、妻も指摘していますが動画をご覧になってお分かりの通り腸瘻チューブが服から容易に出てきてしまいます…
退院時には抜くかもしれないということだった腸瘻チューブですが、つけたまま退院してきていました。実は主治医の先生の計らいで、自宅での投薬をしやすいようにとの配慮でした。
今回処方された抗生剤は基本は経口投与(口から飲ませる)なのですが、はなちゃんは他の猫ちゃんと同じくお薬が嫌いです。味を感じたらすんなり飲み込んでくれません。困ったことにこのお薬は食道に停滞してしまうと炎症を起こしてしまう作用があるそうです。それであればと、確実に効果を期待でき、食道への負担を無くせる腸瘻チューブからの投与はどうかとの提案があったのでした。ただ「私達が医療従事者ということなので」という断りがあったので一般的では無いのかもしれません。
いずれにしても、せっかく残しておいた腸瘻チューブがはなちゃんが動き回ってすぐ抜けてしまっては困ります…。どうしたものでしょうか。
それにしても、予想はしていましたが手術した痕は痛々しいですね(´;ω;`)ウゥゥ
※クリックするとモザイクが外れます。
ともあれ、ひとまずおうちに帰ってきてこの日は具合が悪くなる様子もなく一安心でした。今日主治医の先生から伝えて頂いたことは以下の通りです。
- ごはんはウェットタイプが望ましいが、経済的な負担も考慮して判断してとのこと。病院指定の物は無いので、各社から出ている尿石症対応のフードをあげるように。
- おやつは原則ダメ(つまり大好きなちゅ~るも×😢)。尿石症の猫ちゃん用のおやつなら良いのでは、とのこと。※あまり好ましくは無さそうな表情でした。
- トイレは今まで通りで良く、砂もこだわるものはない。定期的な尿検査もSUBから採るので自宅で採尿しなくても良い。
- 普通に可愛がって撫でる程度なら大丈夫。意図的に皮下のSUBポートを引っ張るようなことはしないで。やるはずがないですよね~
- 退院後翌々日の受診はマストではない。自宅で検温でき、熱や食餌など問題なければわざわざ来なくてよい。但し何か心配事や聞きたいことがあれば来ても良いのでその場合は当日朝に電話くださいとのこと。
- 運動制限は特になし。好きなように運動させて良い。但し入院期間が長かったのですぐに元のように動き回ることは無いだろうとのこと。
- 検温はできるなら一日一回やって。時間の指定は特にない。
- 服は汚れが気になるなら交換してあげて。(帰ってみてみたら、何故か我が家のものでは無い同じサイズ・同じデザインの服が返されたものの中に混じっていました(笑))
- SUB洗浄の前後で何かの制限など、特に気を付けることは無い
- 今の排尿・排便は良好な状態。ちなみに帰りの移動中にちょっとお漏らしした様子😼
- 今後は熱が急に上がるようなことがあれば連絡。今後は週1回のSUB洗浄と経過観察。それで落ち着いたら1ヶ月後に受診し、その後は定期検診に移行するとのこと。
今日も主治医の先生はとっても疲れた顔をしていました。毎日忙しく猫ちゃんわんちゃんとその家族のために働いてくれて本当に感謝ですね。
2/17(木)
この日は私達夫婦に代わって日中はお義母さんがはなちゃんの面倒を見てくれました。私達は朝出勤前に腸瘻チューブからの投薬に四苦八苦。忙しい朝がより忙しくなりました💦
- 粉薬を少量の水に溶き、シリンジに入れておく
- はなちゃんを捕獲する
- 写真のようにはなちゃんを片腕で抑え、チューブにシリンジを接続し薬液注入
- チューブが詰まらないように追加でお水をシリンジで注入
- フタをして、服に戻して終了
という手順を踏むのですが、はなちゃんを抑えながらのチューブとシリンジの扱いが2人がかりでもなかなか難しいです。フタを開けたチューブはつまんでおかないと逆流して溢れてくるし大変です。2人がかりなので写真もほとんど残せませんでした…
日中はお義母さんに見守られて、はなちゃんは久しぶりの我が家でリラックスしているようです。良かった良かった☺
私が帰ると、いつもの調子ではなちゃんがお迎えに来てくれました。お義母さんにはなちゃんの様子を聞くと、1時間ごとにご飯⇒水飲み⇒毛繕い⇒寝るを繰り返していたようです。これぞまさに「猫」って感じの生活ですね。ちなみにはなちゃんの腸瘻チューブは一日で10回くらい服にしまったようです…。見かねたお義母さんがはなちゃんの服に腸瘻チューブを留めておくためのつまみ(写真赤矢印)を付けてくれました。これで抜ける不安も解消されました🐱
それにしてもお世話になったお義母さんのかばんの上でわざわざくつろぐはなちゃん…あなたって猫(ひと)は…(笑)
自宅療養期間
2/18(金)午前。
この日は午前中妻がお休みを取ってくれていました。万が一病院に連れて行くことになったら、の備えです。ただ、昨日お義母さんが見てくれていた時も、その後一晩私達が様子を見ていた時も大きく変わった様子はありませんでした。ただ、はなちゃんの💩がゆるいこと以外は…(´;ω;`)ウッ…。人間でも抗生剤を長期服用すると腸内細菌叢が乱れて同じですよね。
この日は結局電話ではなちゃんの体温や様子を伝え、先生からの指示を仰ぎ受診はしませんでした。先生からの返答は以下の通りでした。
- 体温、食欲、本人(本猫?)の様子を聞く限りひとまず大丈夫でしょう
- 💩がゆるいのはあまり気にしなくて大丈夫。環境・ご飯の変化・抗生剤の影響など様々要因が考えられるとのこと
- 腸瘻チューブは人間用のテープで留めても良い。もし外れて長さが変わってしまっていたら使用をやめて薬は口から投与するように。もしチューブが抜けても体内で便が漏れ出す心配は無いし穴はすぐに塞がるとのこと
- 薬を口から投与する場合は、水を飲ませるなりご飯を食べさせるなりして薬でフィニッシュしないように注意
- 変わりなければ1週間後で
腸瘻チューブは皮膚を通って出てきたところは透明なテープで留めてありました。ただ、粘着力が落ちてきてしまうのでヒトに使う医療用のテープを使って良いかの質問をしたところOKでした。
午後から妻も仕事に出かけましたが、見守りカメラでたまに様子を確認。ミニョンハウスという小さい家型の箱に入っているときはカメラから見えませんが、まぁ大丈夫でしょう。
先生が「次は定期検診で大丈夫でしょう」と仰るまでは、はなちゃんが退院してからの毎日というもの、帰宅時はちょっぴりどきどきでした。はなちゃんがおうちで待っている幸せと、具合が悪くなっていたらどうしようという心配とが入り混じっていたのです。結局杞憂で済んだんですけどね🐱
毎日帰ったらはなちゃんがお迎えしてくれるのは本当に嬉しいですね☺
はなちゃんはご飯をもりもり食べてくれるようになりました。運動量はまだ少ないですが、しばらく入院していたので仕方がないですね。
1週間後検診
2/25(金)13時過ぎ
退院1週間後検診です。この日は私が午後からお休みを取り、はなちゃんを北大へ連れて行きます。はなちゃんはキャリーケースをいじる音がするとソファの下に隠れてしまうので、音もなくキャリーケースの準備をします。そしていつものように抱っこするテンションで捕獲。
北大に到着し、はなちゃんの様子を報告。トイレの回数や量はどうやら心配することない模様。ちなみにここ数日のトイレの回数は3~4回、量は凡そ130~140mlでした。普通の猫ちゃんにしては多めですが、これがはなちゃんの通常のようです。
2/25(金)14時半頃
今日はSUB洗浄、尿採取、血液検査で約1時間とのこと。しばし昼食を兼ねてカフェで時間を潰します。検査結果の説明を受けて診察が終わったのが凡そ16時だったので、本日は割とスムーズにすすみました。検査結果がこちら。
今回の検査結果を総括すると…
- 結論から言うとひとまずは良好
- まだ尿中に細菌はいる様子
- この細菌が、前回検査で検出された細菌と同種なのか、はたまた別の細菌なのかは細菌培養検査の結果を待たないと分からない
- 尿検査の結果が1週間くらいで出るので、結果が出たら電話をくれる
- 次回受診日はその電話で相談。抗生剤の変更が無ければ受診はしばらく先になるかも
- 細菌を完全に無くすのはできないかもしれず、常在化するかもしれない。しかし臨床症状が出なければ大丈夫(つまり細菌がいるからといって抗生剤を延々飲ませ続ける必要はない)。SUBを設置した猫ちゃんには有りうることなのだそう
- 抗生剤は更に2週間分出るので飲ませてね(注入してね)
- チューブは抗生剤の投与が終了したら抜きましょう
- 今後のSUB洗浄は北大でもペテモでもどちらでも良い
- 血液検査の結果は貧血を呈しているが、今回の長期入院を考えると十分あり得る。
- 網状赤血球が多いのは、頑張って赤血球を作っている証拠なので心配ない
とのことでした。普段の様子に加え、血液検査等でも経過は良好で安心しました。尿中の細菌もいなくなってくれていれば最高でしたが、こればっかりは仕方ありませんね。付き合っていくことを覚悟した方がよいでしょう。はなちゃんの鼻の色が薄いなと思ったのは気のせいではなく、赤血球が少なかったからかな?なんて妻と話していました。
細菌培養検査の結果
細菌培養検査の結果は1週間程度で出るとのことだったので、のんびり待つことにしました。その間にもはなちゃんは回復してくれています。背中がちょっとがっしりした気がします。
このころになるとトイレの後も元気に走り回るのですが、薬の影響で💩がゆるいのはこれまでと変わらず。なので足に💩を付けたまま出てきてしまい、床についてしまうことが😨それも「うんスタ(💩スタンプ)」と名付けて愉快な感じにして我が家はお掃除してました(笑)
3/3(木)
そろそろ細菌培養検査の結果が出たかとそわそわし始める私達。しかし待てど暮らせど電話は来ません。
3/4(金)
電話は来ません。土日は大学は休みなので、週明けにでもくるでしょうか…?
3/7(月)
電話来ません。その間にもご飯を一心不乱に食べます。
3/8(火)
電話来まs…。上で寝てるはなちゃんの重みが増してきた感じがします。
3/9(水)
電話…。退院後徐々に体力をつけ、やっと高いところにも自由に上り下りできるようになりました!大好きなハンモックの臭いを嗅いでいます。
3/10(木)
ついに電話が来ました!夜8時も過ぎた頃だったでしょうか。内容はこちら
- 検出された細菌は前回と同じ細菌のみ
- 他に細菌は検出されず
- 細菌数は減少してはいるが、抗生剤の投与によって劇的な差が生まれたわけではない
- 以上の事から、やはり細菌を完全に除去することはできないだろう。症状も無いようなので、現在処方されている分の抗生剤を飲み切ったら一度投与は中止
- 細菌がSUBに感染しているのか、尿路系のどこかに感染しているのかは定かではないが、症状が出ないならばこれ以上抗生剤を飲ませるメリットは無い
- 今後のスケジュールは腸瘻チューブ抜去、その後は定期的なSUB洗浄兼定期検診に移行しましょう
ということでした。覚悟していた通り、細菌を完全に除去するのはできないようで、今後はうまく付き合っていくしかないようです。はなちゃんにはいつまでも元気でいてもらって、自分の免疫で細菌を抑えられるように私達がサポートしていくということですね。
なにはともあれ、退院からなんだかんだ約1ヶ月。再度の発熱なども無く順調に経過してくれて本当に良かったです。あとは投薬期間の満了を待って腸瘻チューブを抜くのみです!
次回完結!
順調に回復を見せるはなちゃん。当初は生死も危ぶまれるくらいの緊迫したシーンもありましたが、はなちゃんの生きようとする力と私達夫婦の想い、動物医療従事者の皆さん、家族や職場の皆さんのお陰で日常生活を取り戻せるようになりました。
はなちゃん闘病記⑧~再び訪れた平穏~に続きます!