※この記事は、私が南米を旅行した2015年2月末~3月頭当時の情報です。現在と異なる状況がありますのでご容赦下さい(但し、埋め込んでいる地図は2021年10月現在のgoogle mapです)※
※また、残っている写真と記憶を頼りに書いているため細部は間違っていることもあるかと思います。併せてご容赦下さい※

☆この記事は「読み物」としてお楽しみください☆

今回はボリビアでの滞在の記事です。トラブルに見舞われながらも、なんとかボリビアに辿り着くことができました。高地順応のため滞在したラパス、そしてついにウユニの町へ!ボリビア前後編の前半、ボリビア到着編をお楽しみください。

目次

ボリビア入国

 前夜無事にマイアミを飛び立ち、安堵の中機内で眠りについて数時間。ふと目を覚ますと真っ暗な機内の中に陽の光が差し込んでいる。窓の外に目をやると水平線はオレンジ色に染まり、眼下には黒い雲が広がっている。まだ朝。約8時間半のフライトも半ばである。初日からトラブルに見舞われ、アドレナリン出っぱなしでまとまった睡眠時間を取っていなかった。もう少し寝ようと目を閉じた。Yは横で熟睡している。

 次に起きたときは、着陸に向けて降下しているところだった。目が覚め頭が冴えてくるにつれて、ボリビアへの期待にわくわくが止まらない。熟睡していたはずのYは私より早く起きていた。遠足前の小学生か。
 無事に着陸。飛行機から降りると息苦しさを感じる、気がした。私たちが降り立ったこのエル・アルト国際空港は標高4061mだ。富士山よりも高い。しかし一瞬感じた息苦しさもなんのその、飛行機から空港までの足取りは軽い。YもAさんも初のボリビアにテンションが上がっている。

 空港内は軍服を着た兵士がおり、入国審査もなんだかも物々しい。知らない人から預かっている物も無いし、やましいことなんて微塵もないのだが緊張するというものだ。無事入国を済ませ、ラパス市街地へと向かうためタクシー乗り場へ。空港の入り口付近は改築途中なのか、建設途上の建物があり、一部未舗装の駐車場にはタクシーが数台停まっている。日本とは全く風景が異なり、何を見るにも興味を引く。そして、ここからはスペイン語での会話が必要となってくる。

 タクシーで運転手に行先を告げる。「Ichiban Hotel」(一番ホテル(に行ってくれ)) ちなみにスペイン語でHは発音しないため、ホテルではなくオテルとなる。
 ラパスの街はすり鉢状の斜面に沿って成り立っている。空港から町の方向へタクシーは下って行ったので、空港は街よりも高いところに位置しているのだろう。しかし物凄い斜面だ。レンガ造りの家が多く、それがために見渡す限りの赤茶のレンガ色の斜面を形成している。

一番ホテル

 ボリビアで一番ホテル?と思うかもしれない。それもそのはず、行先の一番ホテルというのは日系1世(つまり日本人)の南雲さんという方が営むホテルなのだ。割と有名らしく、タクシーの運転手も迷わず送ってくれた。ボリビアで唯一の日本人宿とのことで、日本語が通じる点や情報収集もできる点を考慮して事前にコンタクトをとっていた。マイアミで足止めを食らったことも連絡済みで、この日の空いている部屋を確保してくれていた。日本語でやり取りできなかったらこのようにスムーズにはいかなかっただろう。

 

 高地順応のためここで夜まで休憩し、夜行バスでウユニに向かう予定だ。ホテルに着くとシャッターが閉まっている。治安対策だろうか。呼び出したら強面のおじさんが開けてくれた。このお方が南雲さんのようだ。強面だし話し方も怖いしおでこにこぶあるしでインパクトは相当大きい。労いの言葉と共にホテル内に迎え入れてくれた南雲さんに、事前のやり取りや急遽の予定変更への対応について感謝の辞を述べた。

 マイアミに続き、ここでも1泊分の料金を支払ってYと共に客室にチェックインし、部屋の中を見て回る。横ではYがはしゃいでいる。部屋は清潔でWifiも飛んでいる。朝食は日本食が出るとのことで、まだ日本食が恋しいタイミングではないが、本当は1泊して異国の地で食べる日本食を楽しみたかった。トイレは文化の違いを感じた。日本と違い、水を毎回流すのではないようで使用後のトイレットペーパーは傍らにあるごみ箱に捨てるシステムだ。

 Aさんはこの日の昼に飛行機でウユニへ向かうとのことで、客室に入ることはせずロビーにあるソファを借りて休憩することに。私たちの部屋で休ませてあげたいとダメ元で南雲さんにお願いしたが、さすがにOKは出なかった。そのロビーでは、大学生くらいだろうか、別の日本人女性客三人組が不安そうな顔で南雲さんと話している。どうやら三人のうちの一人がレストランで食事中にスリ被害に遭い、パスポートを含む貴重品を盗まれてしまったとのこと。日本の反対側のボリビアでパスポートを盗まれたとあってはさぞかし心細いだろうが、南雲さんの宿にいたことでいくらかは和らいだのではないか。彼女たちが無事に帰国できることを祈りつつ、YとAさんと街ブラに出かけた。

ラパスで街ブラ

 ホテルは中心地やバスターミナルからは少し離れたコンドル広場の近くにあるらしく、移動にはタクシーや乗り合いバスでの移動がメインの様だ。私たちは下見と夜行バスのチケットの手配もかねてタクシーでバスターミナルに向かった。バスターミナル周辺を軽く歩いて回ろう、という寸法だ。

 バスターミナル周辺は(ホテルの周りもであったが)赤レンガや石造りの建物が多く、メインの道路はアスファルトで舗装されているが一本中にはいると石畳の舗装となり、異国に来たということを実感する。通りは活気に溢れており、道行く人々はエネルギッシュだ。バスターミナルの近くだからだろうか、現地民の他に様々な国の観光客もおり、この地が観光の一つの拠点だということを物語っている。

 ウユニへは飛行機やバス、列車、あるいは列車とバスの複合など行き方は何通りかあり、私たちは観光客向けの夜行バスで行くことにした。Todo Turismoというバス会社で、チケットはバスターミナルではなく近くのオフィスに行かなければ入手できないという罠があったのだが、予め南雲さんから聞いていたので罠に嵌ることなく難を逃れることができた。強面だが細やかなところまで配慮の行き届く南雲さんに感謝である。

 無事ラパス-ウユニの往復バスチケットを手配することができた。あとは散策しながら一番ホテルに向かう。趣のある教会があり、広場ではたくさんの人が思い思いに過ごしている。シャーベットを売っている露店があり、商品を待つ人だかりができている。「みざわさん、アイスたべましょうよ!」というYの誘いに、(露店で生ものは危険と聞くが…旅の序盤で腹壊したらどうする…でもシャーベットくらいならいけるか…せっかくの旅行だし…)と逡巡の末挑戦。色の通りベリー系だが甘さ控えめでさっぱりとしていて食べやすい。後で腹痛に苛まれることもなかった。

 帰りは乗り合いバスに挑戦だ。人を満載したマイクロバスに乗り込み、頭の中で一番ホテルを想像しながら「Plaza El Condor?」(コンドル広場(行くか?))と運転手に聞く。「Si」(そうだ)という返答を聞き、乗客の隙間に入り込む。すぐにバスは出発し、小さい車体を上下左右に揺らしながら進んでいく。一番ホテルに近づくにつれて、ちゃんと降りられるか心配になった私は 「Plaza El Condor?」 「Plaza El Condor?」 と連呼する。面倒くさそうに頷く運転手。一番ホテルを通り過ぎるバス。更に心配になり 「Plaza El Condor?」 と宣う私。「Plaza E…」コンドル広場についた。

 バスを降りてから一番ホテルに向かう道中で反省した。コンドル広場って言ってるんだから一番ホテルの前で停まるはずないじゃないか。あれじゃただの「コンドル広場?」って連呼している怪しい人である。ボリビア人に、日本人観光客=同じ単語を連呼する怪しい人 というイメージが定着しないよう祈るばかりだ。

高山病?

 空港からホテル、ホテルからバスターミナル、その後町を散策と、ほとんど休んでいなかった私たちも、部屋に戻ってきてさすがに休むことにした。横になって数十分した頃か、私は妙な頭痛を感じていた。吐き気もするようなしないような…。おそらく高山病である。しかしここで足止めを食ってはただでさえ狂ったスケジュールが更に狂ってしまう。とはいっても夜起きても体調が悪かったら、Yには申し訳ないが今晩のウユニ行きは断念しよう。ここは運を天に任せて、回復を祈って寝るしかないと目を閉じた。

 夕方。目を覚ました私は体調を回復させるギャンブルに勝ったことを悟った。頭痛も吐き気もすっかり消えていたのだ。ぐっすり眠ってよく回復したようだ。むしろ少し寝坊した。寝坊してタイムロスしたためシャワーを浴びることができなかった。Yは高山病の気配もなくぐっすり眠って寝坊していた。良く寝る男だ。そんな彼もシャワーを浴びることができなかった。

ウユニへ

 あたりが薄暗くなった頃、私たちを乗せたバスはラパスを出発した。バスターミナルには行先別に何台もの車両が出入りしており、バスターミナルを出るのにもなかなか時間がかかっていた。バスターミナルを出て、バスは市街地を抜けて郊外に出ていく。窓外を流れる景色は同じような荒野となり、やがて荒野は漆黒の闇の中に溶けていった。

 真夜中。ふいにバスが停まった。休憩時間の様だ。乗客が車外に降り、近くの建物のトイレに行ったり露店で買い物をしたりしている。同じ姿勢で硬くなった体をほぐすために私たちも降りることにした。しかしスペイン語(特に聞き取り)に自信が無い私たちは、バスが何分後に出発するか分からず、乗り遅れたりすることの無いようすぐに車内へと戻った。何のために降りたのか。気は全く休まらなかった。

 よく、世界には生活費が一日1ドル以下の人が~千万人、などのフレーズを聞くが写真のお店の人は果たしてどのくらいなのだろう。簡素な棚に並べられたジュースとお菓子類。バスの休憩所だから意外と需要があって見た目以上に儲けているのか。はたまたその逆か。そんな結論の出ないことを考えながら、真っ暗な窓の外を眺めていた。道路の舗装がイマイチなのだろう、不規則に訪れる揺れがゆりかごの役割を成し気づいたら眠りに誘われていた。

ウユニ到着

 朝6時前。ようやくウユニに到着したようだ。バスの中は意外と暑く、じっとりと寝汗を書いていた。窓の外を見ると、バスターミナルやバス停ではなくただの路上に停車しているようだ。後から知ったことだが、ウユニにはラパスのような大きなバスターミナルは無く、バスは各会社のオフィスの前か近くに停車させているとのことだった。

 辺りはまだ暗く、町は眠っている。空を見上げると、雲一つない。日の出前だが、遥か向こうの空は白んでおり、夜空から朝の空へと変わり始めていた。今日は風もなく良い天気になりそうだ。鏡張りへの期待が膨らむ。

暁暗のウユニで彷徨う二人

 ウユニの町に降り立ったはいいが、どこも店がやっていない。ウユニ塩湖へのツアー会社もまだやっておらず、私たちはとりあえず町中を歩いてみることにした。Yは寝起きハイテンションだ。重い荷物を持っているのにぴょんぴょん飛び跳ねている。

 町中は乾燥しているのか、埃っぽい感はあるがゴミはあまり落ちていない。道の脇には様々なモニュメントがあるが、個人的には中央分離帯に鎮座している「鉄の魔女」がインパクトが大きかった。「鉄の魔女」は正式名称ではなく、あくまで私がそう呼んでいるだけである。特に指先が怖い。仮にこのモニュメントが慈愛や抱擁をイメージしたものと言われても私には前衛的過ぎて理解できないだろう。

 ウユニへの交通手段の一つが鉄道である。歩いていると鉄道駅の前についた。外国で鉄道の旅もしてみたいものだが、ウユニは行きも帰りもバスなので記念写真だけ撮影。この旅で私たちが鉄道移動するチャンスはあるのだろうか。そして、もし鉄道に乗ることができたとしてトラブルなく目的地まで辿り着くことができるのだろうか。ちょっとトラブルが起きてほしいと思う自分を心の中で押しのけた。

 夜が明け、町が目を覚ます。相変わらず私たちはあてもなく彷徨っていた。どこからか人が通りに出てきて、店支度を始める。この通りはマーケットになるのだろうか、最初は離れた場所に陣取ってぽつりぽつりとしか無かった店が、続々と人々が”出勤”してきて通りにはたくさんの店が商売の準備を進めている。

 Yと私はラパスのバスターミナルで非常食としてお菓子を買っていた。Yは朝食代わりにお菓子を食べながら歩いている。「みざわさん、一ついります?」 私も持っているのだが、Yは買い込んだ量が半端ではない。何故かお菓子を譲ってくれた。良いやつだ。ココア系の所謂「外国のお菓子」という感じの味だ。

Aさんと再会

 そうこうしているうちに、空路で先にウユニ入りしていたAさんと、彼女が宿泊しているホテルのロビーで合流した。宿泊客ではないが、一般客向けに朝食も提供しているようで3人で朝食をとった。簡単なバイキング形式で、ハムやチーズ、食パン、スイカなどのフルーツ、ヨーグルト、ジュース、コカ茶。コカ!?そう、コカインのコカである。日本では違法薬物のため飲んだりすることはできないが、ボリビアやペルーなどの高山地帯では広く飲まれているようだ。高山病の症状緩和の効果があるとかないとか。味は渋みと苦みが混在しており、好き嫌いが分かれそうだ。

 バスでウユニに着いてからかれこれ2時間程経っている。不思議と疲労感は無い。Aさんは1番ホテルでのお返しの気持なのか、私たちの疲労を気遣ってか「2人とも、私の部屋でシャワー浴びて少し休んでいきます?」とコーヒーを飲みながら提案してくれた。これ幸いにとばかりに、ホテルのフロントに一言声をかけたところNG。諦めてフロントを借りてツアー会社が開くまで休憩する。Aさんの優しさは嬉しかったが、しきりにシャワーを浴びないかを提案してくれていたのが引っ掛かっていた。その理由は2日後に判明することとなる。

ウユニ塩湖へ

 8時を過ぎ、何社かあるツアー会社も営業を始めたようだ。事前予約のない私たちの旅が本格的に始まる。さぁ、念願のウユニ塩湖へ。

南米旅行回想記④~ウユニ塩湖二人占め編~に続きます!

投稿者

hanamizawa

文系学部を卒業後、歯学部再受験し現在卒後数年経った歯科医師です 患者さんにより良い医療を届けるため日々勉強中 また、勉強していく中で日常生活にもアンテナを伸ばすと知らないことが溢れていることに気づいてしまいました。 猫好き、アウトドア好き、スポーツ好き、ドライブ好き、読書好き ゆるく生きています

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